こんにちは、凡蔵です。
今回は、
『新しい文章力の教室~苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング~』
2015年8月11日初版
という本についてご紹介します。
この本は、
文章を書くのって本当に苦手だなあ…。
何か書こうとしても頭が真っ白になって、すぐ手が止まってしまうよ。
いろいろ書こうとするんだけど、頭の中でこんがらがってしまってうまくまとめられない…。
何か良い方法はないかな?
↑こういった人にオススメします。
わたし自身も文章がスラスラと書けないこと、うまくまとめられないことにずっと悩んでいたのですが、そこで一番最初に手に取ったのがこの本でした。
トップで活躍されているブロガーからライターまで、本当に多くの方がこの本を文章力の入門書としてオススメされていたので、これは間違いないと思い読んでみました。
結論から言うと、書き出すまえの下準備から用途別の細かいテクニックまで、文章術の基本をイチから学びたい!という人にとって極めて実用的な本となっており、全ブロガー&ライター必読といっても過言ではない一冊です。
この本を熟読して、実用的な文章を安定して効率よく書き上げる力を身につけましょう。
『新しい文章力の教室~苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング~』書評・感想
著者紹介:唐木元さんってどんな人?
まずは、この本の著者である唐木元さんについて簡単にご紹介します。
唐木 元(からき げん)
『新しい文章力の教室~苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング』著者紹介欄より
1974年生まれ。株式会社ナターシャ取締役。
大学在学中よりライターとして働き始める。
卒業後は事務所「テキストとアイデア」を開設、雑誌を中心に執筆・編集の現場に従事した。
2004年より編集者として、ライブドア・パブリッシング、幻冬舎、KI&Company(ジーノ編集部)と3つの出版社に勤務。
2008年、株式会社ナターシャに参加し、編集長として「コミックナタリー」「おやつナタリー(終了)」「ナタリーストア」を立ち上げた。
さまざまな出版社に編集者として勤務したのち、コミックナタリーの編集長を務めた唐木さんは、ちょうどこの本が出版された2015年に株式会社ナターシャを退社しています。
現在はアメリカに渡り、ミュージシャンとして活動されているそうです。
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https://twitter.com/rootsy
➤Instagram:
https://www.instagram.com/rootsy/
目指すべきは「完読される文章」
本書冒頭において唐木さんは、まず「良い文章とは何か?」という問いに対して「完読される文章」であると答えます。
少々ざっくりとした答えのようにも思えますが、文章を書くことに慣れていない初心者のうちはアレコレ迷わずに完読という目標をハッキリと定め、そこを目指して文章力を磨いていくべきだと述べています。
出かけるときに地図で目的地と経路をしっかり確認してから出発するように、文章も書くまえにまず「完読される文章」という目標をハッキリと定め、その目標に向かって迷うことなく進んでいけるように準備をしなければなりません。
「事実→ロジック→言葉づかい」の3層構造を腹の底にたたき込むべし
初心者が一番最初に覚えるべきことは「事実→ロジック→言葉づかい」の3層構造であると、唐木さんは書いています。
「事実」「ロジック」「言葉づかい」の3つのレイヤーは、取り返しのつかない順序で積み重なっています。
『新しい文章力の教室~苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング~』より
どれだけ美文を連ねても、事実に誤認があったら実用文としては0点です。
またロジックがおかしな文章は、言葉づかいでは挽回できません。
(中略)
実用的な文章力をレベルアップしたければ、「事実」「ロジック」「言葉づかい」の順番に積み上げていく思考を、まずは腹の底にたたき込んでください。
文章を書くことに慣れていない人は、つい個性的な言い回しやカッコイイ比喩表現など小手先のテクニックに走りがちですが、まず基本中の基本として「事実→ロジック→言葉づかい」の大原則を覚えなければなりません。
レトリックの工夫を考えるまえに、
この2点をひとつひとつしっかりと確認して手堅く書いていく必要があります。
考えてみればごくあたりまえのことではありますが、初心者は書き方や表現方法ばかりに目がいきがちなので十分に注意したいところです。
「主眼」と「骨子」を決めよう
まずは主眼(テーマ)=その文章で何を言うのか、何を言うための文章なのかという目的を明確にします。
そして、その主眼(テーマ)を達成するための骨子=「要素(何を)」「順番(どれから)」「軽重(どのくらい)」を決めていきます。
文章を書き始めるまえに「テーマ」を定め、その「テーマ」のために「何を」「どれから」「どれくらい」話すか考えていきましょう。
つねに実用的でロジカルな文章を書き続けるためには、こうした「構造的記述」が大切であると、唐木さんは述べています。
まずは大きなテーマをセットして、そのテーマに沿って手持ちの事実や書きたいことを箇条書きで簡単に書き出していきましょう。
そして、そこで挙げた材料をどれから(順番)、どのくらい(軽重)書くのかを決めていきます。
主眼と骨子を「構造シート」で整理しよう
この主眼と骨子づくりのプロセスをより明確にイメージしやすく、より早く身につけるための方法として、唐木さんがナタリーで新入社員向けに指導していた「構造シート」というトレーニング法が紹介されています。
A4コピー紙でもノートでもなんでも良いので、書くまえに主眼と骨子を固めるというこれまでの一連の作業を、1枚の紙に改めてまとめていくという方法です。
① 紙の上方に大きく線を引いて、テーマ(主眼)を書く欄を作ります。この段階では空欄のままとします。
『新しい文章力の教室~苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング~』より
② 箇条書きで、書こうとする話題を列挙していきます。
③ 並んだ話題を眺めながらこれから書く文章の主眼を見定め、テーマ欄に書き込みます。
④ どの話題から切り出していくべきか、主眼に準じるよう吟味し、項目の左横に順番を数字で書き込んでいきます。
⑤ 紙を替え、テーマ欄に主眼を書き込み、順番通りに並べ直します。もししっくり来なければ、また順番を吟味して書き込み、紙を替えてやり直します。
⑥ アピールしたい優先度を、項目の右側にABCの3ランクで格付けしていきます。
ちなみに、わたしもこのブログ記事を書くにあたって構造シートを簡単に書いてみましたので、参考までにそのメモの写真を掲載しておきます。
これで書き方が合っているかはわかりませんが、本で紹介されている通りの手順に従い、記事を書き出すまえに一応このようにまとめてみました。
文章力も構成力もほぼゼロのわたしの場合、この「主眼と骨子を決める→構造シートにまとめる」という作業だけで2~3時間かかってしまったので結局プラマイゼロな気もしてきますが(笑)、この一連の作業を面倒がらずに何度も繰り返し実践していくことで、いずれ瞬間的に構造シートを脳内でイメージして迷うことなくすぐに書き出せるようになっていくとのことです。
さらに読みやすくわかりやすい高度な「完読される文章」を目指す
ここまでは事実とロジックを固めるという最も基本的な作業でしたが、ここさえしっかりしていればそれだけで70点ぐらいの文章が出来上がると唐木さんは述べています。
序盤で「構造的記述」の土台をしっかり固めて、ここから70点よりさらに上のレベルを目指して細かい技術を磨いていくことになります。
本書後半では、読者の負担を減らすうえで重要となる「読みやすく理解しやすい文章」の書き方についての様々なテクニックが解説されており、項目ごとに推敲前・推敲後の2通りの例文が掲載されています。
ただ読み進めていくだけでも勉強になりますが、推敲後の例文を見るまえにどのように直せばよいのか自分なりに考えてみるとより実践的です。
わたしも全ての例文の推敲にチャレンジしつつ読んでいったので、非常に良い練習になったし理解も深まりました。
文章を磨き上げていく際にはどういった点に着目し、どう改善していけば良いのか?
そんな「読み返して直す力」をつけるための具体的なノウハウが満載となっています。
まとめ
この本を手に取るのはわたしと同じように書くことに慣れていない人がほとんどだと思いますので、今回は序盤の事実と構造の組み立てについてまとめられた章を中心にご紹介しました。
本の内容的にもそのあとの「言葉づかい」についての記述のほうがはるかに長いのですが、初心者はまず「書くまえに準備をすること」と「事実→ロジック→言葉づかい」の基本をおさえることが最も重要です。
ここまでの「書くまえの下準備」と「構造的記述」の手順をしっかり実践していけば、少なくとも「書こうとしても頭が真っ白になって手が動かない…」という初歩中の初歩段階からは抜け出すことができるはずです。
当たり前すぎて誰も教えてくれないような基本から、よりクオリティの高い文章を仕上げるためのテクニックまで、ひとつひとつ親切丁寧に解説されたこの本を熟読して、書くことの初心者から脱する第一歩を踏み出しましょう。